久しぶりの写真美術館

マイケル・ケンナ写真展(東京都写真美術館

 

本展は「代表作から初公開作品まで、マイケル・ケンナ45年間の集大成」で「日本初の大回顧展」だという。不勉強な私が、マイケル・ケンナを知っているはずがなく、友人が教えてくれたおかげで知った写真家だ。「下調べしてから展覧会に行ったほうかいいのか」なんて一瞬頭をよぎったが、「考えるな、感じろ」を命題に生きているので、予備知識もなくまっさらな状態で写真美術館へ。

 

「繊細な絵画のような写真」

 

これがマイケル・ケンナの作品を見た私の第一印象だ。展覧会のチラシに「印画紙に綴られたモノクローム叙事詩」と記されていたが、なるほど頷ける。ケンナの作品には、他の写真家にはない叙情的な「なにか」を感じる。その「なにか」を上手に説明することは出来ないが、光や空気を映しだす微妙な変化の瞬間とでもいおうか。モノクロームの写真なのに、光や空気感を表現できるのかと驚く。

 

絵画と述べたのは、ケンナの出身国であるイギリスの画家・ターナーのような光に満ちた作品もあれば、円山応挙が描く「雪松図屛風」のような松を写実的に映しだしたものがあったからである。古今東西の絵画を知っている者ならば、ケンナの作品を見て多少の既視感を感じるはずだ。しかし、改めて言うまでもなくケンナは、筆ではなくカメラを通じて、光や空気感を表現をしている点において評価が高いのではないか。

 

……偉そうに語っているが、オススメの展覧会。なんと、1月27日で会期が終わる。「みんな、急いで写真美術館へ行って!」ってくらいの内容である。さぁ、早く!