なんだか生きにくい

生きにくい。

 

連日の炎暑。殺人的な日ざしの強さ。人の体温並の気温。

 

朝から気温はすでに 30度近くになり、やっとのことで通勤する。すでに職場は冷蔵庫並に冷えきっており、カーディガンと膝掛けは必須だ。この気温差に私の身体はついていけない。

 

身体だけではなく、脳みそも炎暑についていけない。

 

ある日のこと。

 

趣味のひとつである読書で、自分を慰めようといきつけの本屋へ入るが、それだけでめまいがしたのだ。本の帯の文句。過剰なまでに宣伝する新刊のポップ。いつの間にか拡大していた私が苦手とする自己啓発本のコーナー。情報過多で脳みその処理スピードがついていけない。

 

そのいきつけの本屋はショピングモールに入っている。時は夏物のバーゲンセール真っ最中。洋服が半額だとか何なのかわからないが、店員のはり叫ぶ声に鼓膜が破れそうになる。また、そこにむらがる人の多さに辟易する始末。

 

若い頃はこんなに生きにくかったのだろかと自問する。

 

冷房のきいた職場で半袖で働いていた。本屋で新刊。雜誌の特集。装丁。帯の文句。店員の手作りポップ。全く苦にもならなかったし、むしろ進んでチェックしていた。バーゲンに対しても常にアンテナをはっていた。どこで何を買うか、なんてことも考えていた。それが普通だったし、それで安心していた。

 

現在の私において「安心」とはなにか。なんだか哲学っぽい問いになってしまったが、答えは至極簡単。心身ともに健康に生きることだ。今後、私にはどれくらい生きにくさが出てきて、その生きにくさをどのくらい我慢すればいのだろう。アイスコーヒーを飲みながら考える。が。弱っている身体にはアイスコーヒーですら刺激が強いのか、胃がズキズキし……

 

ああ。私は歳をとった。