愚かな私

「最近の若い子は」という言葉が嫌いだった。

 

というのも、ン十年前もの話、私も新入社員時代に上司にさんざん散々言われ続けた言葉だから。もちろん叱られる時に使われるときに。

 

上司の若い時分とは、生きている時代も、政治情勢も、はやりも違う。そもそも「若い」とは人生の中でほんの一瞬で、そんな一瞬を勝手にあなたたちとは比較されたくない。などといきがっていた。なので、私はこの言葉を絶対に言わないと勝手に誓っていた。

 

現在、私はある程度の年齢になり、会社では新入社員がぞくぞくと入社している。彼らは「ゆとり世代」と言われる若者。ニュース・新聞・雑誌で「ゆとり世代」のなんたるかをわかっていたのだが、認識が甘かった。彼らは私の想像の上をいっていた。

 

敬語が使えない。指示されなければ何も行動にうつさない。常に受身。提出書類の時刻を守れない。なのに自己保身の言葉だけは一丁前にダラダラと出てくる。「ゆとり世代」の奇異な言動や行動を挙げれば枚挙にいとまがない。

 

私は気づいたときに発していた。「最近の若い子は……」と。

 

そして、今になって当時の上司の気持ちが痛いほどわかる。私は愚かだった。