過去を懐かしむ

5年以上ぶりに学生時代のサークルの先輩と会った。ヌルいサークルではあったのだが、若かりし頃、4年間というほんの一瞬ではあったものの同じ志を持って集まった同志(大げさか)。諸事情により会えなかったけれど、ようやく会えたのである。

 

思い出ばなしに花が咲く。お互いの近況ばなしにも花が咲く。

 

優しく微笑む表情は、学生時代となにも変わられていなかった。少し高くて透きとおる声も、ボキャブラリー豊富で繊細な言葉づかいも。ただ唯一変わられていたのは、微笑む口元が少し痩せていただけであろうか。「年をとった」もちろんそんなことは言わなかったが、おそらく先輩も同じことを思ったに違いない。

 

学生時代とは同じように頻繁に会うことはできないし、置かれているシチュエーションも違う。正直なところ、結婚、出産を経験されて交じわえる部分も少なくなってきた。だが、私は下記の歌詞を知っている。

 

集り散じて 人は変れど 仰ぐは同じき 理想の光

 

それを思い出してググッときた。どうか、こんな抽象的な表現しかできない私を責めないでほしい。読者諸氏ならばご存知なとおり、センチメンタルな部分もあるのである。

 

帰り際には「次は自宅へ遊びにきてね」とお優しい言葉もいただいた。厚顔無恥な私が大きく頷いたのは言うまでもない。お忙しい中にお時間をいただいた先輩には感謝しきりである。この約束が果たされることを祈りつつ、地下鉄改札口へと向かった。